27日午後の東京株式相場は下落。電力やパルプ・紙、陸運、建設など内需関連、空運や銀行株が下げている。一部テクニカル指標からみた過熱感に加え、週末を前に買いが入りづらい。朝方発表の10月の家計調査で消費支出の低調が確認されたほか、感謝祭明けの米国はきょうから実質年末商戦がスタートし、今後の内外消費動向を見極めたいとの姿勢もある。
午後1時20分時点のTOPIXは前日比8.58ポイント(0.5%)安の1593.74、日経平均株価は70円63銭(0.4%)安の1万9873円78銭。日経平均は朝方に一時49円高の1万9994円と3カ月ぶりの2万円回復に迫ったものの、その後はマイナス転換。一時100円以上安くなったが、下げ幅も限定的だ。今週の4営業日は上昇、下落、上昇、下落と鯨幕相場になっている。
フィリップ証券の庵原浩樹リサーチ部長は、「海外投資家が不在で買い上げる主体がいない」と指摘。日経平均は2万円を前に「過熱感も出ている。週末を控え、来週はイベントが満載。一度利益を確定したい投資家もいるのではないか」と言う。
週明けの30日は国内で鉱工業生産、12月1日には法人企業統計の発表があり、米国では1日に米供給管理協会(ISM)の製造業景況指数、3日に連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言、4日に雇用統計が公表予定。欧州は、3日に欧州中央銀行(ECB)の理事会とドラギ総裁の会見がある。
東証1部の騰落レシオは26日時点で133%と、目先過熱を示す120%を上回っていた。需給面では、前日に東証が公表した20日時点の裁定買い残は半年ぶりの高水準となっており、先物の下落場面では解消売りも出やすい。
26日の米国株は感謝祭の祝日休場、短縮取引になる27日は感謝祭翌日のブラックフライデーで、事実上の年末商戦が始まる。一方、国内では取引開始前に総務省が発表した10月の家計調査で、実質消費支出が前年同月比マイナス2.4%と、減少率が9月の0.4%から拡大。SMBC日興証券・金融経済調査部の宮前耕也シニアエコノミストは、「消費はかなり弱く、10-12月期プラス成長への不安を感じさせる滑り出し」とみていた。
東証1部33業種は空運、電気・ガス、その他製品、その他金融、パルプ・紙、ガラス・土石製品、陸運、建設、銀行、化学などが下落。鉱業や海運、非鉄金属、鉄鋼は上昇。売買代金上位ではみずほフィナンシャルグループや任天堂、日本航空、セブン&アイ・ホールディングス、JR西日本、オリエンタルランド、資生堂、シャープ、スタンレー電気、日産化学工業が安く、保土谷化学工業や東芝、住友金属鉱山、ディスコ、川崎汽船は高い。