海外投資家は中国について、今までに無い不安を持っている。しかし、成長の減速と企業決算の結果は、中国本土の投資家にとって心配にはなっていないようだ。彼らは9月末以降、株価を20%以上上昇させている。
このことは、中国の株式市場が独特であることを表している。
中国においては経済的に明るい兆候が少ない。10月の貿易統計で輸出は4カ月連続で減少。製造業は縮小し、サービス部門の数値も良くない。年間成長率は2020年まで少なくとも6.5%だと官僚たちは述べているが、大規模な刺激策なしにそれを達成するのは難しい。
中国企業にはプレッシャーがかかっている。マッコーリーのアナリストらによれば、人民元建てで取引されるA株市場上場企業の第3・四半期決算は前年比13%悪くなった。
そ の一方で、株式市場は今夏の株価急落から回復している。基準値とされるCSI300指数は9月末以降、20%超上昇した。信用取 引が再び活性化していることが、その原因の1つかもしれない。信用買いに必要な証拠金債務は最近、1兆元(約19兆3500億円)を超えた。このこと は、レバレッジ投資の危険性についての記憶がすでに薄まっていることを表す。
当局が新規株式公開(IPO)手続きの改革を進めていることも株価上昇に寄与している。証券監督当局は6日、7月以来凍結していたIPOの再開を認めることを発表した。
新たな制度の下では、投資家はIPO株を申し込む際に現金の必要がなくなる。なぜ重要かと言えば、中国のIPOには投資が集中するため、市場から現金が無くなることがあるからだ。中国証券監督管理委員会(CSRC)によると、6月は25社のIPO総額414億元に対して、投資家から5兆6900億元が集まったとのことである。
このような改革は中国当局が前回のバブルから教訓を得たからかもしれない。しかし、株式市場の回復は国内に限られており、中国本土の株式市場と香港市場の価格差はこの2カ月間で最も大きくなった。企業決算が大幅に改善しない限り、国内投資家は再び失望するというリスクがある。